「遺言や相続の準備は、いつから始めるべきか?」というご相談をよくいただきます。
結論から申し上げると、元気で判断力が十分な“今”がベストタイミングです。
この記事では、準備を始める際の目安や、早めに動くメリット、基本的な流れをわかりやすく解説いたします。
目次
準備を始めるべきタイミング
「高齢になってから」「病気になってから」とお考えの方も多いのですが、いざという時には手続きや意思確認が難しくなることがあります。
以下のようなライフイベントは、見直し・準備の良いきっかけです。
- 不動産の購入・売却をしたとき
- 子どもが成人したとき
- 退職・年金受給が近づいたとき
- 結婚・離婚・再婚など家族構成が変わったとき
- 事業承継を考え始めたとき
早めに準備するメリット
- 意思を確実に反映:判断能力があるうちにご希望を文書化できます。
- 争いの予防:相続人間の誤解や不公平感を軽減します。
- 手続きの円滑化:必要書類の事前整理で、遺族の負担を軽くできます。
- 資産配分の最適化:生前贈与や保険の見直し等、選択肢が広がる時期に検討できます。
生前にできる具体的な準備
- 遺言書の作成(方式選択は後述)
- 任意後見契約(将来の判断能力低下に備える)
- 財産・口座・保険等の一覧化(連絡先・保管場所の整理)
- 生前贈与や受取人指定の見直し(保険・死亡退職金など)
- 家族会議(希望や方針を共有し、不要な争いを避ける)
将来、判断能力が低下したときに備えて、信頼できる人に財産管理や生活支援を委ねる契約です。
公証役場で契約し、必要になった時点で家庭裁判所の監督下に置かれます。遺言と組み合わせることで、生前から死後まで一貫した支援体制を構築できます。
公証役場で契約し、必要になった時点で家庭裁判所の監督下に置かれます。遺言と組み合わせることで、生前から死後まで一貫した支援体制を構築できます。
年代・ライフステージ別チェック
- 50〜60代:不動産・保険・退職金の方針、二次相続も見据えた配分の考え方
- 70代以降:医療・介護の意思表示、任意後見や公正証書遺言の検討
- 再婚・ひとり親:法定相続と希望の差を埋める設計(特定財産の遺贈など)
- 事業主:株式・事業用資産の承継(後継者・役員構成・議決権など)
配偶者が相続した後、その配偶者が亡くなったときに発生するのが「二次相続」です。
一次相続よりも税負担が重くなるケースが多く、不動産や金融資産の分け方、生命保険の活用などで事前に調整しておくことが重要です。
遺言書作成時には、この二次相続まで見据えて分割方法を検討しましょう。
一次相続よりも税負担が重くなるケースが多く、不動産や金融資産の分け方、生命保険の活用などで事前に調整しておくことが重要です。
遺言書作成時には、この二次相続まで見据えて分割方法を検討しましょう。
遺言書の種類と特徴
遺言書には大きく3つの方式があり、それぞれに作成方法や有効性、費用面などで特徴があります。
ここでは、3種類の遺言について概要とメリット・注意点をご紹介します。
自筆証書遺言
- 特徴:手軽で費用負担が小さい。法務局の保管制度を使うと紛失・改ざんリスクを抑えられる。
- メリット:思い立ったときに作成可。保管制度を使えば検認不要の証明書の活用が可能。
- 注意点:方式不備の無効・内容不備のリスクあり。保管制度を使わない場合は、原則検認が必要。
公正証書遺言
- 特徴:公証人が関与し、有効性・信頼性が高い。原本は公証役場で保管。
- メリット:方式不備のリスクが低い。検認不要。
- 注意点:証人の手配や手数料が必要。
秘密証書遺言
- 特徴:内容を秘密にしたまま公証役場で手続可能。
- メリット:プライバシーを重視できる。
- 注意点:実務上の利用は多くない。方式は厳格で、検認が必要。
相続の基本的な流れ
- 相続の開始と相続人・財産の確認
- 遺言書の有無の確認(公正証書・法務局保管の有無など)
- 遺産分割協議(全相続人で協議し、合意内容を文書化)
- 名義変更・各種手続き(不動産・預貯金・自動車・保険など)
- 税務手続き(必要な場合)
遺言があると、これらの協議の負担や期間を大幅に短縮できるケースが多いです。
遺言書を見つけたら(検認の要否)
- 自筆証書・秘密証書:原則として家庭裁判所での検認が必要。
- 公正証書遺言:検認不要。
- 法務局保管の自筆証書:交付される遺言書情報証明書は検認不要。
自筆証書遺言や秘密証書遺言を開封・執行する前に、家庭裁判所で形式面の確認を行う手続きです。
遺言の内容を有効にするための判断ではなく、偽造や改ざんを防ぐための公的確認です。
検認が必要な遺言を勝手に開封すると過料の対象になるため、必ず家庭裁判所に申し立ててから開封してください。
遺言の内容を有効にするための判断ではなく、偽造や改ざんを防ぐための公的確認です。
検認が必要な遺言を勝手に開封すると過料の対象になるため、必ず家庭裁判所に申し立ててから開封してください。
手続きの工夫
- 法定相続情報証明制度:戸籍一式の束の代わりに一覧図の写しを各手続で使えるため、手続の簡素化・迅速化に有効。
- 預貯金の仮払い制度:遺産分割前でも、一定の上限の範囲で払戻しが可能(緊急費用に充当)。
行政書士がサポートできること
- 現状整理(家族構成や保有資産の確認、優先課題の整理)
- 遺言書作成サポート(趣旨整理、必要条項の検討、文案作成)
- 遺産分割協議書の作成支援(合意内容の文書化、添付書類の案内)
- 各種名義変更の手続き案内(不動産・預貯金・自動車など)
「どこから手をつければよいか分からない」という段階でも大丈夫です。
丁寧にご説明し、無理のない進め方をご提案いたします。
よくある質問
Q. 財産が多くないのですが、遺言は必要ですか?
金額の大小に関わらず、誰に何をどう渡すかを明確にしておくことで、相続人間の負担とトラブルを予防できます。
Q. もう高齢の親に遺言を書いてもらえますか?
判断能力が保たれていることが前提です。
状況に応じ、方式や進め方をご提案いたします。
Q. 夫婦だけで話し合って決めておけば十分ですか?
口約束では相続時に効力が不十分です。
遺言や協議書などの文書化をおすすめいたします。
まとめ:準備に「早すぎる」はありません
- 今がベストタイミング(ライフイベント時は特に見直しを)
- 早めの準備でご家族の負担を軽減
- 現状に合わせた最適な進め方をご提案いたします
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