相続の第一歩は、戸籍を集めることから始まります。
ただ、どこまで遡ればよいのかや本籍地が遠方にあるときの手配など、最初の段階でつまずきやすい点がいくつもあります。
故人の人生をたどるように一つひとつ戸籍を揃える作業は、思い出に触れる機会になる一方で、確かな労力を要します。
それでも戸籍を正確に整えておかなければ、預金の解約や不動産の名義変更が進まず、次の手続きが止まってしまいます。
ここでは、相続手続きで必要となる戸籍の集め方と整理のコツについて、事実に基づいて分かりやすく解説します。
戸籍とは何か
戸籍は、日本人の身分関係を公的に記録する帳簿です。
出生、婚姻、転籍、養子縁組、死亡などの主要な出来事が反映されます。
相続では、戸籍の記載を通じて相続人が誰であるかを確定することが第一の目的になります。
法改正や電算化による編製替えが行われるため、出生から死亡までの経過を追うには複数の種類を揃える必要が生じます。
なぜ戸籍を集めるのか
銀行で口座の解約を行うときや不動産の名義変更を進めるときには、相続人全員の確認が求められます。
戸籍を正確に集めていなければ、後になって別の相続人の存在が判明し、協議や手続きが無効となるおそれがあります。
一方で、戸籍を漏れなく揃えておけば、どの相続人が権利を持つかが明確になり、次の工程へ滞りなく進められます。
どこまで集める必要があるか
必要となるのは、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍です。
現在の戸籍だけでなく、改製や転籍の履歴をたどって揃えます。
相続人となる配偶者や子の戸籍も求められます。
また、前婚の子や養子の有無も戸籍によって把握されます。
事情によっては請求先が多くなり、通数が相当数に及ぶことがあります。
戸籍の取り寄せ方法
戸籍は本籍地の市区町村役場で発行されます。
窓口で直接請求する方法と、郵送で取り寄せる方法があります。
郵送請求では、申請書、本人確認書類の写し、定額小為替、返信用封筒を準備します。
2024年3月から「戸籍の広域交付制度」が始まりました。
最寄りの役所で全国の本籍地の戸籍を取得できるようになり、移動の負担を軽減できます。
利用できるのは本人または直系親族に限られます。代理人は利用できません。
広域交付は窓口での請求が前提で、郵送での取り扱いはできません。
対象は原則として謄本であり、抄本の取り扱いがない自治体が多い点は窓口での確認が安心です。
現金を同封できないため手数料の支払いに用います。
有効期限は発行から6か月です。請求直前に用意すると無駄がありません。
費用と時間の目安
手数料は各自治体の条例で定められます。
多くの自治体では、現在戸籍は1通450円、除籍謄本や改製原戸籍は1通750程度です。
出生から死亡までを遡ると合計は数千円になり、状況によっては10,000円を超えることもあります。
請求先が全国に散らばる場合は、それぞれの役所へ申請を送ることになり、往復の郵送時間もかかります。
転籍が多い方の戸籍をたどる作業は、精神的にも肉体的にも負担が大きくなりがちです。
戸籍整理のコツ
集めた戸籍は時系列に並べると全体像がつかみやすくなります。
死亡時点の戸籍から読み進め、記載されている改製や転籍の履歴を手がかりに遡って揃えると漏れを防げます。
各戸籍に付箋や番号を振り、相続関係説明図と照らし合わせるなどの工夫をすると関係が整理されます。
また、役所へ請求するときに出生まで遡れるよう依頼の趣旨を添えると、必要な戸籍の案内を受けられることがあります。
法務局で法定相続情報一覧図の写しを取得しておくと、多くの金融機関や各種手続で戸籍の束に代えて提示できるため、原本の提出や返却管理の負担を軽くできます。
戸籍をそろえたうえで一覧図を作成すると、後続の手続がぐっと運びやすくなります。
専門家に依頼するメリット
自分で収集を進めると、取り寄せ漏れや本籍地の見落としによってやり直しになることがあります。
準備に時間を要するため、相続の名義変更が遅れやすくなる点にも注意が要ります。
相続による所有権移転登記には申請義務が導入されており、期限管理が重要です。
行政書士に依頼すれば、必要な戸籍を効率よく整え、関係書類を一式としてまとめたうえで次の手続へスムーズにつなげられます。
経験に基づく確認と段取りにより、安心して相続の第一歩を踏み出せます。
まとめ
相続手続きは、まず戸籍を集めて整理することから始まります。
出生から死亡までの戸籍を遺漏なく揃え、時系列に整理すれば相続人が確定し、銀行や不動産など次の手続きが円滑に進みます。
戸籍収集には手間と時間がかかりますが、法定相続情報一覧図の活用や専門家の支援を取り入れれば、負担を抑えながら着実に前へ進められます。
家族にとっても早めの準備が大きな安心につながります。
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